ピロリ菌は胃の粘膜に生息している棍棒状の細菌で、長い毛を持っています。感染経路は、口を介した感染(経口感染)であろうと考えられています。感染時期は、胃粘膜の働きがまだ不十分な幼小児期(特に2歳まで)に、保護者から感染して住み着くとか、井戸水を介して感染するとか、保育施設等で感染するとか報告されています。成人してからの感染もありますが、頻度は低いようです。ピロリ菌に感染すると、萎縮性胃炎、胃・十二指腸潰瘍等にかかりやすくなります。
最近では、胃癌の発生にも強く関与しているとの報告も増えてきていますので、当院では、ピロリ菌陽性の方には、積極的に除菌することを勧めています。しかし、ピロリ菌陰性でも、ストレス性の胃・十二指腸潰瘍になることもありますし、胃癌に罹患することも少数ですがありますので、陰性でも注意は必要です。
があり、当院では(3)を、簡便で正確なので用いています。
ピロリ菌の除菌療法は、抗生剤2種類と制酸剤1種類(計3種類)を7日間内服し、制酸剤を12週間内服します。除菌療法の副作用は、下痢や肝機能障害がありますが、軽い場合が大半です。
ヨーグルトで「ピロリ菌に効果がある」と宣伝されているものがありますが、除菌効果はなく、抑制できるといった程度ですので、過信しないで下さい。
以下は当院でのピロリ菌陽性率と除菌成績です。

50歳以上では陽性率は60%前後と、従来から言われているように、70、80%といった高率ではありませんでした。拡大内視鏡検査を行って、その所見からピロリ菌が明らかにいないと診断した場合には(そういった所見は特に40歳以下に多いのですが)、尿素呼気試験は行わない場合がありますので、本当の陽性率は更に低いと考えられます。
20歳代では20%ですが、20年後に40%になるのか、そのまま20%のままなのかが注目されます。私はこのままの陽性率で推移していくのではないかと考えています。その場合、将来的に、胃癌は減少し、食道胃接合部癌・バレット食道癌が増加していく可能性があります。内視鏡医は、そういった癌を見落とさないことが大切です。バリウム検診でも同様の注意が必要ですが、バリウムでは精度の高い検査は余り期待できません。
年齢 |
検査数 |
ピロリ菌 |
1次除菌 |
2次除菌 |
||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
陽性 |
陰性 |
陽性率 |
施行 |
成功 | 成功率 |
施行 |
成功 |
成功率 |
||
計 |
2453 |
1286 |
1167 |
52.4% |
791 |
618 |
78.1% |
110 |
103 |
93.6% |
除菌の成功率には特に年代ごとに差はありませんでしたので省略しました。
1次除菌の成功率は78%で、2年前の集計(216/274、78.9%)より弱冠下がっています。2次除菌の成功率は2年前の集計(31/33、93.9%)とほぼ同率でした。100人のピロリ菌陽性の方がいたとして、1次除菌で退治できなかた約20人の方も、2次除菌で19人が成功し、現在保険適用となっている1次・2次除菌で退治できない方は1人という単純計算になります。