内視鏡検査画像

内視鏡検査の実際の画像をご紹介いたします。
写真は当院で使用している内視鏡(BLI内視鏡)からの画像を撮影したものです。

中咽頭

当院では従来通り、高解像度内視鏡を経口で入れます。口蓋、舌、大臼歯、口蓋垂、咽頭扁桃、喉頭蓋と観察を進め、中咽頭に到達します。花の匂いを嗅ぐような姿勢をとると、咽喉頭が広く展開されて、十分に観察できます。もともとスペースが狭い人の場合は、最低限の観察にとどめて検査を進めます。唾液が多ければ吸引します。

喉頭・下咽頭

咽頭・食道は近い部分を観察するので、基本的に、弱拡大にして観察します。声帯は、左右均等に開閉するか、腫瘍はないか確認します。左右梨状陥凹~披裂結節に発赤・異常血管がないか診ながら、輪状後部から挿入します。挿入時に軽く呼吸を止めてもらい、右トルクで食道入口部を越えたらすぐ左トルクで戻します。狭い所をスコープが進むので、違和感があります。十分展開できるかどうかで、挿入時のつらさは大きく左右されます。

上部食道

上部食道に入った直後は多少、頻呼吸、頻脈になっているので、静かにゆっくり吸い、静かに長く吐いてもらうと、落ち着きます。左主気管支を越えた辺りではスコープも安定しますので、バルギン水で60ml以上、洗浄します。

胸部中部食道後壁。白色光観察でも、BLI観察でも、樹枝状血管網が良く透見されます。BLI拡大でも、上皮直下の毛細血管網は認められますが、乳頭内血管は皆無で、炎症が無いと診断できます。

食道炎

白色光ではやや白濁した程度の粘膜ですが、BLI拡大で見ると、乳頭内血管が高度に増生、伸長、拡張していることがわかり、逆流性食道炎です。

下部食道

SCJ(扁平上皮円柱上皮接合部)の観察は、深吸気時に行います。呼気時で閉じていても、息を大きく吸って止めると、1cm以上バレット上皮が見えてくることがあります。バレット上皮とは、食道だった粘膜が胃の粘膜に置き換わった状態で、食道から胃側へ連続した柵状血管で診断します。進展不十分だと柵状血管は見えず、縦方向にヒダが入り、胃の粘膜のように見えてしまいます。

SCJの白濁肥厚が見られず、BLI拡大でも乳頭内血管がSCJ直上で殆ど見られず、バレット上皮はあるが、逆流性食道炎は無いことがわかります。

食道炎

2時方向に5mmの楔状発赤があり、GradeMRの逆流性食道炎。BLI拡大では、腫大した腺構造と、食道領域では乳頭血管の増生・伸長を認めます。0.7%ヨード染色では、伸長した乳頭血管部は茶色に染まらず、その間が茶褐色に濃染(毛羽様)しています。内視鏡上の重症食道炎は、日本人には少ないですが、内視鏡分類と症状は一致しないことがあります。

胃内容液

胃に入った時に液体が多量にある場合は、すぐ吸引します。吸引後、胃大弯の粘液の量、発赤の程度などから、ピロリ菌の有無を推測します。

右図では、深緑色の胆汁が胃に逆流しており、胃の排泄機能が低下している可能性があります。

胃前庭部

スコープは胃体部を奥へ進みますので、胃が押される感じがします。胃前庭部に達し、幽門輪を撮影した後、閉じている幽門を押し広げて通過します。この時、再度、押される感じがします。幽門輪が開大している人もいます。

十二指腸乳頭・球部

幽門を通過した後、右トルクをかけて十二指腸下行脚に入り、十二指腸乳頭(胆汁・膵液が流入する部位)まで観察します。球部へ戻って観察しますが、ここは潰瘍の好発部位です。後壁側(画面右側)は死角になり易い部位です。

幽門輪・前庭部

胃前庭部に戻ったら、見落としのないように、後壁・大弯・前壁・小弯を観察します。時々脱気したり、蠕動を利用して観察したり、弱拡大をかけたりします。

胃角部

胃角部周辺も潰瘍の好発部位です。胃角の正面、後壁・前壁を見た後、胃角上部から小弯側を観察しながら噴門方向に上がってきます。

噴門部

スコープを反転させて、胃穹隆部から食道胃接合部を診ます。穹隆部は液体が溜まる部位なので、残っている液体を吸引した後、胃を膨らませます。小弯側は見落としが生じ易い部位です。ゲップし易く、積極的な観察を控えてしまうからです。行きがけにSCJを観察できなかった場合は、噴門反転時に観察します。噴門は、呼気時に観察します。

胃体部

胃の観察の最後は、胃体部をスコープを抜きながら観察します。送気不十分だと、大弯のヒダの間を見落としてしまいます。胃が膨らむ感じがしますが、我慢して下さい。

食道(抜去時)

正常な上部食道
軽い食道炎のある下部食道

食道を、白色光や随時BLIで観察しながら抜去してきます。食道癌のハイリスク(飲酒で赤くなる50歳以上の男性、喫煙者等)の人、病変がある人には、最後に0.7%のヨード液をまきます。褐色に染まらない所が病変で、拡大観察して炎症か腫瘍の診断をつけます。

食道入口部

挿入時にはゆっくりと見落としがないように食道入口部を観察します。この部位には、大小の異所性胃粘膜が1~2割の人にありますので、慎重に抜去して検査終了です。お疲れ様でした。

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