当院の経口内視鏡
当院の経口内視鏡検査は色彩の処理能力を高めた機能、LCIに対応した拡大内視鏡「LASAREO」を導入しております。
LCIは従来より色調分解能を高めることで通常設定では判別しにくい正常な粘膜と病変を見分けやすく画面上で再現することが可能になり、より客観性の高い診断をすることで、患者様の病変を見逃さないように日々努めております。
拡大内視鏡検査とは
拡大内視鏡とは、内視鏡検査時に見つけた病変を、光学的に最大約100倍に拡大し、詳細に観察することが可能な内視鏡機器および検査法です。
通常の内視鏡検査では、病変が見つかった場合、組織を一部採取(生検)して、病理検査に提出します。病理学的診断がつくのに1週間ほど要します。拡大内視鏡で診断すると、検査時にその場でかなり正確な診断が可能になります。
当院は、上部・下部ともに拡大内視鏡を用いて診断する医院・クリニックのさきがけです。拡大鏡を用いる施設が徐々に増えて来ていますが、機器も診断技術も、まだまだ普及したとはいえない状況です。
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図1 通常光モード
通常光観察では、微細な血管の判別が困難です。
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図2 LCIモード
LCIモードにすると表層の乳頭内血管が強調されます。
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図3 拡大観察
白色光で拡大観察すると、乳頭内血管の増生・伸長がみられ、食道炎とわかります。
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図4 BLI併用拡大観察
BLIモードにすると表層の乳頭内血管が褐色に強調されます。
診断学の進歩
機器の性能がいくら向上しても、診断能力が伴わなければ役に立ちません。如何に診断するかが重要です。拡大内視鏡診断学は発展途上ですので、内視鏡医は日々勉強し、最新の知見に精通していることが大切です。
検査する粘膜面を全て拡大観察するのではありません。通常観察で微妙な変化に気付く注意力、微妙な変化を異常かどうか判断する力が内視鏡医には必要です。
画像強調内視鏡の時代
現院長が大学病院(千葉大第二外科)勤務時代の平成7年から、約100倍の拡大内視鏡を用いた臨床研究が始まりましたが、その当時はNBI(Narrow Band Imaging)やBLI( Blue LARER Imaging)といった青色狭帯域光を使った画像強調法はありませんでした。
写真光学の世界では、「紫外線撮影」をすると肉眼で見えない表面構造が強調されることは既知の話で、私も細々と切除標本を紫外線撮影して検討しましたが、平成17年にOlympus社が青色の狭帯域光を用いたNBIを製品化したことにより、表面微細血管の診断は大きく前進しました。富士フィルム社もFICEを開発しましたが、評価はいまいちでした。そうした不満がある中、平成24年春に、LASEREO(レザリオ)が開発されました。
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上部食道
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下部食道
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胃前庭部
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噴内部
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体部大弯
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食道ヨード染色
新世代内視鏡システム“LASEREO”
新世代内視鏡システムLASEREOは、光源に、白色光用とBLI用のレーザー光を用い、通常白色光観察では色調を鮮明に再現し、BLIモードでは粘膜表面構造や微細血管を鮮明に描出します。
当院で平成11年から使用しているフジノン(富士フィルム社)内視鏡は、41万画素の高画素内視鏡を発表して以来、白色光画像が非常に鮮明なことを特徴としており、正確な診断に寄与してきました。その後、内視鏡診断は、IEE(Image Enhanced Endoscopy:画像強調観察)による微細血管や微細表面構造を診断する時代に入っています。レーザー光を利用したBLIは、鮮明な白色光画像を拡大した時、ボタン一つで画像強調され、毛細血管が浮き上がるように描出することができます。
拡大してこそのBLI・NBI
「LASEREOを用いると、食道表在癌はほぼ全例、通常白色光観察で拾い上げが可能だった」と、複数の施設から報告されています(第87回消化器内視鏡学会総会.平成26年5月)。進行癌は言わずもがなですが、食道表在癌も、BLIやNBIに頼らず、白色光で発見する時代になりました。BLIの有用性は、見つけた病変内の微細血管を拡大観察する際、その血管を鮮明にすることにあります。拡大観察した時にこそ、BLI本来の力が発揮されます。
よくある質問
- 内視鏡検査にはどのくらい時間がかかりますか?
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検査そのものの時間は約5分程度です。医院に滞在する時間は約1時間半程度とお考えください。
- 内視鏡検査の後、食事はいつ頃から可能ですか?
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検査終了後、30分程度で食事は可能です。
希望者や、以前の検査で挿入困難がわかっている方などは点滴で鎮静剤を用いることがあり、その場合は鎮痛剤の効果が切れてから食事が可能です。
- 内視鏡検査の時、全身麻酔はしてくれますか?
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希望者や、以前の検査で挿入困難がわかっている場合は、点滴で鎮静剤を用いることがあります。全身麻酔ではありません。詳しくは「鎮静下内視鏡」のページをご参照ください。
当院では通常、上部内視鏡はのどの麻酔のみで行います。
- 内視鏡検査の時、付き添いは必要ですか?
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検査のために鎮静剤を用いた場合は、鎮静剤の効果が完全に切れるまで時間がかかります。安全に帰宅してもらうために、できる限り、付き添いの方と一緒に来院して下さい。鎮静剤を用いなかった場合は、必要ありません。
- 毎年バリウムで要精密検査と言われますが、何故でしょうか?胃がんも心配です
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胃潰瘍の瘢痕や不整形の胃ポリープなどがあると、バリウム検査を受ける度に「要精密検査」となりますので、胃内視鏡検査を受けるよう指示されると思います。新たに病変が出現することもありますので、今まで大丈夫だったからと変に安心せず、内視鏡検査を受けて下さい。
バリウム検診は、ある程度の大きさの胃がんは発見できますが、早期胃癌を発見することはかなり困難です。また、食道表在癌の発見はほぼ不可能です。
上部消化管内視鏡は、口腔・食道・胃・十二指腸まで観察し、病変箇所は拡大観察し、生検して病理診断まで行うことが出来ます。
- 最近よく咳込むので、食道癌が心配です
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食道癌の症状は、「固形物がつかえる」「液体が下りて行かない」「のどが痛い」「咳込む・むせる」「熱い物・冷たい物がしみる」「体重減少・痩せた」「息が臭い」などです。これら症状が出てしまっては既に進行癌で、外科手術や放射線化学療法の対象です。
食道癌は、粘膜下層の深部に浸潤するとリンパ節転移が40%に達し、リンパ節郭清を含んだ大手術が必要になります。粘膜内にとどまった段階で見つける必要があります。その為には、症状が無くても定期的に内視鏡検査を、それも良く表在食道癌を知っている医師に行ってもらう必要があります。
食道癌は男性に多く、飲酒・喫煙歴の長い人に多く、フラッシャー(酒を飲むと顔が真っ赤になる人)だったのに飲めるように鍛えた人に多いと分かっています。最近は、食道裂孔ヘルニアから食道炎・バレット食道になり、バレット食道がんが発見されることが増加しています。胸焼け症状も放置しないで下さい。
受診の流れ
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Flow1
検査前
検査前日の夕食は軽めに、午後9時以降は食事は禁止。飲水はOK。早目の就寝を心がけましょう。
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Flow2
検査当日
食事・ジュース等、煙草は禁止(水・茶はOK)。血圧・心臓の薬は、当日朝も早目に服用して下さい。
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Flow3
検査当日、前処置室での準備
病院に着いたら、問診票に記入、血圧を測定します。義歯やコルセット、時計・眼鏡等をはずして下さい。口紅もとって下さい。携帯電話はマナーモードにしてください。
【注意事項】
- 開始時間は前後することがありますので、ご了承ください。
- 血液をサラサラにする薬(バファリン・プラビックス・エパデール等)を服用中の方は、休薬して良いか、事前に主治医に確認して下さい。
- 鎮静下(眠った状態)での検査を希望の方はあらかじめお申し出下さい。
- 極細(経鼻)内視鏡をご希望の方は、ご相談下さい。
- ピロリ菌測定、腹部超音波を先に行う場合があります。
- 採血等、事前検査が必要な場合があります。
- 糖尿病治療中の方は、ご相談下さい。
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Flow4
のど(咽頭)麻酔
胃の中をきれいにするため、白い液体の薬を飲み、胃腸の動きをゆっくりにする薬を筋肉注射します。鎮静剤を注射する場合もあります。のどに麻酔薬を1分間ためた後、紙コップに出します。
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Flow5
内視鏡検査の開始
検査室に移動し、検査台の上に左側を下にして横になります。マウスピースを口にくわえます。内視鏡をマウスピースを通して挿入。力を抜いてラクに。呼吸は、出来る限りゆっくり、静かにお願いします。
口にたまってくる唾液は飲み込まず、左口角から流し落として下さい。検査中は、食道や胃を洗ったり、吸引したり、押し進めたりします。空気を入れて膨らませたり、しぼませたりしながら観察します。特に病変がなければ、検査は5分前後で終わります。
※病変があると、良性、悪性を鑑別する目的で、病変の一部を採取(生検)することがあります。
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Flow6
検査後の注意事項
検査が終わったら少し休んで下さい。気分が悪い時はすぐに医師、看護師に伝えて下さい。当日の車の運転は禁止です。
飲水は30分後からOKです。食事は1時間後からOKです(まず、水を飲んでむせないようでしたらOKです)。組織を生検した場合は医師の指示に従って下さい。
料金のご案内
検査内容\負担割合 | 3割負担 | 1割負担 |
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上部消化器内視鏡検査 (初診・診察・採血を含む) |
6,680円 | 2,230円 |