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7/20 日本食道学会「食道色素研究会」にて

少し前になってしましましたが、7月20日土曜は、伝統ある食道色素研究会(第80回)に仙台へ行って来ました。テーマは、今、最もhotな「食道学会分類B2血管の再考」でしたので、医院を休診にして、朝5時起きで参加しました。

演題数は10で、一演題に30分かけて検討していきます。

今回も、第一演題から議論が白熱し、久し振りに私も多数発言し、議論をスピーディに進展させました、と思います。

そもそもの問題点は、「B2血管と考えたときの深達度診断率が低いので何とかしたい」です。現分類では、B2血管には、①本当に腫瘍による腫瘍血管がB2変化した物②炎症、慢性刺激、放射線等による影響で既存乳頭血管がB2様に変化した物③上皮下血管網SECNが何らかの変化で表層に来たり太くなったりしてB2様に見える物、の3者が混在しています。①だけをB2と診断できれば良いのです。四徴に近いloop血管はB1と診断できますが、現分類には、正常血管に関する言及が無く、腫瘍と考えた領域内の血管に四徴がないとB2になってしまいます。炎症は内腔側から、腫瘍は基底層側から変化します。拡大観察は内腔側を主に観察するため、基底膜側は見えないことが多い事を考慮し、「真のB2」なのか、「非腫瘍性の変化」なのかを診断することが大切で、これに対する用語を、新規約に用意する必要があります。

因みに、上皮下乳頭血管(IPCL)を分岐する上皮下network(SECN)の存在は、私は98年に「斜走血管」として論文内で言及しました。当時は内視鏡が発展途上でnetworkは見えませんでしたが、切除標本の水平断連続切片で、「基底層直下に、乳頭内血管が分岐する毛細血管が斜走している」と確認しました。気の利いたネーミングをしとけば良かった・・・。

 

最後に、内視鏡方面で誤用する人が多い用語も指摘しておきます。「局面」は、「物事の情勢、状況、なりゆき」を表す言葉で、将棋や囲碁、政治問題等で用いる用語です。内視鏡画像の「発赤面、陥凹面」と「局所」を足して二で割ったのでしょうか・・・。内視鏡像は、時間経過で変化しますけど・・・。私は「領域」という語を用いています。

 

画像説明

1:非腫瘍性粘膜の乳頭血管(IPCL)。この方は、飲酒量が多く、逆流性食道炎もあり、乳頭血管はやや増生し、やや拡張しています。

2:中部食道左壁に4mm程の淡い発赤を認めます。

3:中拡大観察で、一部にB2血管を認め、浸潤傾向のある扁平上皮癌と診断できます。内視鏡治療した結果、粘膜固有層に浸潤した癌でした。

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